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体は嘘をつかない。頭はときに嘘をつく。 ビジネスマンも「心技体」を整える時代。(吉田大介さんvol.2)

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今回インタビューさせていただいたのは吉田大介さん

1973年 北海道函館市生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、シンガポール国立大学Lee Kuan Yew 行政大学院 Excective Program終了。1997年、株式会社リクルート入社。その後、ソフトバンクに転じ複数の新会社立ち上げに従事したのち、戦略系コンサルティング会社で8年勤務。現在は外資系医療機器メーカーの事業責任者に従事すると同時に、CPCC(Certified Professional Co-Active Coach)を2012年に取得しプロのコーチとしても活動。リクルート時代には、アメリカンフットボールの実業団チームであるリクルートシーガルズ(現オービックシーガルズ)に所属し、ディフェンスバックとしてプレイ。1998年にはライスボウルで優勝し日本一に。

Vol.1では、アメフトを引退してからは仕事漬け。体のケアをほとんどしてこなかった大介さんが、コンディショニングを始めるまでの経緯を伺いました。Vol.2では体を整えることと、ビジネスとの関係などを伺っていきます。

daisuke

・年取っていくと通常、体は衰えていくけれど、心はどんどん強くなっていく。結果的に全体が整って強くなる、そういう境地ですね。研ぎ澄まされていく感じ。
そうですね。体と心はつながっている。心を整えるために体から入るっているのは大事ですね。ちなみに、心・技・体って技があるじゃないですか。技は仕事とか自分のスキルでそれも整えていくと心も整ってきます。自分に自信ができて、余裕ができてくる。余裕が生まれると心が豊かにもなって人にも優しくできるし、いいスパイラルになっていく。おかげ様で調子いいですよ。

・本当に調子がよい感じのオーラがでていますね。
最近よく言われます。ありがとうございます。常に調子がいい自分でありたいな、というのはあります。気持ちばかりでなく、そこに体がついてくるとすごくいいバランスがとれるんですよね。

・調子を整えるやり方を取得できたっていうのは大きいですね。
大きいです。これ、実はアスリートでもわからないですよ。アスリートはその競技に必要な筋肉を鍛えるスキルと経験値はあるけれど、それが終わった後に、自分を整えたり、いい状態を作るためのスキルはあまりないと思います。特に強くなる筋肉を作るためのトレーニングと、仕事をじっくりするのにいいコンディションをつくるトレーニングって全然違いますし。

・どう違うんですか?
競技では衝撃から自分の身を守るために主に大きな筋肉しか鍛えないです。特にコンタクトスポーツは。でも、デスクワークに衝撃はないですし、必要な筋肉が違うので。

・確かに、そうですね。せっかくなので、元々アスリートとしてバリバリやられていたときの体と心の関係と、現在の体と心の関係も伺ってみたいと思うのですが……。
もちろんです。いいですねー。

体は嘘をつかない。頭はときに嘘をつく。
ビジネスマンも「心技体」を整える時代。

daisuke

・アスリートは日々体の調子を感じ取る能力が高いので、心身を整えることが、技にもつながっていく感覚があると思うんですね。でも、アスリートが引退後にビジネスの世界で活躍している比率は決して高くないように感じます。逆に、日本のビジネスマンは自分のキャリアプランなどについては戦略をたてて、自分をマネジメントしていくことは結構できると思うのですが、体のことになると、マネジメントできない人が多いように思います。そのあたりどのように感じていますか?
日本はまだまだ勉強してきた人は勉強だけだし、スポーツしてきた人はスポーツだけです。割と一流の人はそういう人が多いと思います。アメリカにいくと、スポーツ選手がMBAを取得して経営者になっていることも結構あります。元々彼らはスポーツも1つの競技に特化するのではなく、夏にアメフトやって、冬にバスケットボールをやるとか。そのことで、どんな環境にいっても自分で自分を管理する方法を取得しているんだと思います。日本ってスポーツの場合、子供のころから、サッカーならサッカーだけ、野球なら野球だけっていう育ち方が多いので、他の環境に移ったときに本来の自分のパフォーマンスを出し切れる人が少ないと思うんです。もちろん1つのことを極めて一流になることはすごいことです。でも、だいたいは、野球には自信あるけど、バスケットやったらできるかなぁ?って人が多い。いろんなことに対応できてきた経験があると、仕事でもなんでもやれる自信になるんじゃないかな、と思います。フレキシビリティですかね。

・フレキシビリティですか。いろんなことを経験することはとても大事なんですね。それによって適応していく能力が身につくってことなんですね。
日本では賛否両論あると思いますが、僕は比較的多く転職をしています。日本の企業の場合、たいてい転職が多いことを忍耐力がたりないからだ、とかいう見方をします。でも、外資企業の場合、面接でもどうしてそういうキャリアを積んできたのか、をよく聞いてくれますし、逆に褒めてくれたりします。そもそもの考え方が違います。転職が多いことの何が評価されるかというと、フレキシビリティ。いろんな環境を経験していることで、いざ何が起こっても動じない、タフさ。いきなり新しい環境入っていって成果を上げるっていうのはいろんな経験が生きてくるからです。

・そうなんですね。たしかにスポーツも日本だと、部活動の制度の影響もあると思いますが、いろいろとやっていると、途中であきらめたように見られがちですよね。だいたいが中学、高校、大学って同じスポーツすることが多いですものね。日本だと続けるより辞める勇気が必要な気がしますよね。
スポーツも会社もですよね。僕はたまたま親が仕向けてくれたこともあって、色々できたことはよかった。1つのこと続けなかったっていうコンプレックスはありましたけどね。これからの日本人はフレキシビリティとかいろんな環境に適応できる力を身につける必要があると思います。また、それは心と体のバランスを崩していたらできないです。適応していくには、エネルギーがいるので。新しい環境に身をおくって。コンディションが悪いと勇気、エネルギーがわかない。知らないところにいくとか、新しいことを始めるには勇気がいる。勇気=エネルギーだから。

・40代は仕事を大事にしたり、家庭を大事にしたりいろいろ変化が起きる年代だと思うのですが、本気でキャリアアップなり、何かやろうと思ったら、今までと何かを変えていかないと頭打ちになっていくような気がするんです。ご自身がブレイクスルーした経験からなにかアドバイスはありますか?
偉そうなこといえないですけど、僕はコーチングに助けられたと思います。特に心はコーチングで整えてきたので。世の中って正解がないですよね。答えは自分の中にしかない。そうした時代では、世間的に見ればいい評価や幸せでも、本当の指標は自分の中にしかないから。たとえ年収5000万になっても自分の価値観にあわなかったらそれは幸せではないですし。自分の中に答えを見つけようと思うと、結局は自分を見つめるしかない。自分を見つめるってどういうことなのかな?というと、心とか体の状態を常に見つめて、自分がどういう状態なのかを感じ取れる。そうすると自然といい状態と悪い状態がわかってくる。いい状態の時に自分がどんなことをしているかとかわかってくると、コントロールができるようになる。たとえ年収がすごく良くなっても自分にあっていない仕事だな、と直感的に思ったらあまり幸せではないと思いますし。体とか心を自分なりに内省してみていれば、自分の価値観はおのずとわかってくる、見えてくると思います。

・今の時代、世の中には情報があふれているので「自分の価値観(軸)」がわかっていないと、惑わされてしまいますよね。スポーツをしてきた人は常に「今日の調子どうかな?」とか、体から感じをつかんでいくことに慣れていますものね。
今日はなんで調子悪いのかな? 調子いいのかな? 自分の心と体に常に問いを投げかけているんですよ。帰りの電車で、なんかもやもやするけどそれってなんだろう? とかね。

・そういうことを繰り返していると、「自分の価値観」や「軸」が見えてくるのでしょうか?
自分の「今」を感じることができると、自分の価値観や軸が見えてくると思うんです。自分が欲しいもの、ありたい姿も感じてきます。「今」を感じるきっかけを作ることが、コンディショニングだと思ったんですね。自分の「今」の体を感じることが、自分を知ることに繋がっていくんです。

・「今」に集中したいと思っても、なかなかできない……。それは体を意識することから始めるとわかりやすいかもしれませんね。
最近マインドフルネスって流行っているじゃないですか。あれって「今」に居ることですよね。今ここに居る。なぜ今ここに居ることを知る必要があるかっていうと、今ここの自分のコンディションを知ることなんですよね。そのために呼吸をしっかり意識する。コンディショニングは「姿勢」や「痛みのない体」といった、呼吸以外のところにも意識を向けますが、瞑想と効果は変わらないと感じるんですよ。

・大介さんは、コンディショニングを瞑想やマインドフルネス的にも活用されているんですね。
そうですね。コンディショニングって、そういうことだと思っています。人って過去に起こったことや、未来に起こりうることを想像して「過去」と「未来」をずっと行ったり来たりしています。「今」を忘れてしまう。それを、「今」にフォーカスすることで自分のコンディションがわかってくる。それができるようになると目の前のことに集中できたり、いまこの瞬間の仕事が一気にできるようになったりするんじゃないかと思います。

・スポーツってそういう意味では常にマインドフルネスですよね。過去のプレーをいちいち考えていても仕方ないし、今このプレーに集中するみたいな。
だから一流の選手はミスしてもそれを忘れて今この瞬間のプレーに集中できる。こんなこと起きたらどうしよう、と心配する暇があったら、今このプレーに集中しようっていうことですよね。そういうトレーニングもしているし。

・写経や禅もそうですよね。心と体両方から自分を見つめていきます。
そうそう。でも、自分を見つめようって思うと頭で考えてしまうでしょ。頭を使っちゃうと、また「過去」とか「未来」といった雑音が出てきて、本当の声が聞こえないことも多いんです。だから、やっぱり体から感じることって、一番「今」に居やすい手段だと思います。

・それは大介さんがアスリートだったから体からのアプローチが一番「今」にいやすい手段だったのでしょうか? 運動経験が少ないビジネスマンも「今に集中する力」を求めていると思うのですが……。
体を使って生きてきた分、それはあると思います。ただ、頭で考えて「今」を感じるって難しい。それにコーチングをしていると良くわかるのですが、頭で考えたこと、感じたと思ったことって、自分をも騙してくることがあるんですね。例えばコーチングで「どんなかんじですか?」って聞いたときに、「やる気に満ち溢れてきました!」という。でも、その人は全然、行動に移さないことってたくさんあるんです。やる気があるのに、行動に移さない……なんで? って思うでしょ。頭を使って出した言葉って嘘のこともある。でも、体の感覚に聞くと、自分の内側に秘めている本質的な自己を感じることができるんです。だから、体の感覚がいい、悪いとか、スポーツ経験の有無に関わらず、多くの人が体からアプローチする方が近道だと思っています。
体は嘘をつかない。でも、脳はときに嘘をつく。体ってごまかせないんですよ。

・体は嘘をつかない。脳はときに嘘をつく……。私たちは「こうあるべき」「あれもしなきゃ」と、やるべきことに追われているし、世の中が作った理想を追い求めがち。頭ばかり使って生きているのだから、ときに体から感じ、頭を休める時間が必要なのかもしれません。
今日は、貴重なお話、ありがとうございました。

この記事の著者

森村ゆき
森村ゆき
RunforSmile株式会社代表取締役。2004年に初挑戦したホノルルマラソンで、改めて体を動かす素晴らしさを体感し「より多くの人に体を動かす素晴らしさを味わってほしい!」と“スポーツ”と“コミュニティ”をキーワードに、さまざまな活動をスタート。
2005年、ホノルルマラソン完走をきっかけに友人たちと立ち上げた『PARACUP~世界の子どもたちに贈るRUN~』は、楽しみながら走ることで世界の子どもたちをサポートする仕組みをうみ、現在までの寄付額は約7000万円にのぼる。現在は、「体を動かすこと」でその人の健康を見直すきっかけを作り、「いつまでも健康で豊かな人生を送る人を増やしたい!」と、体に関するセミナーや大会の企画運営、講演、スポーツボランティアのマネジメントなどを行っている。
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