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走ったら、自分のまわりに“好き”が集まってきた。(下井香織さんVol.2)

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扉を開け続けたら、人生が変わった。
仕事も人間関係も“好き”が集まってくる。

_どんどん速くなったから楽しかったのかな?

最初はそうだったかもしれない。
初フルマラソンのあと、
4時間を切ろうとベルリンマラソンに挑戦して、
3時間42分でゴールできて。
その翌年、3時間33分の自己ベストを出したときも、
目標の3時間半は切れなかったけれど、
やり切ったー! っていう、充実感はあったしね。


_走り始めて、何年か経っても楽しかったの?

もちろん、走るたびに少しずつ速くなる、っていうのは
いつまでも続かないけど、タイムを狙う以外にも、
ランニングっていろんな楽しみ方があるから。

大会に出たり、人と一緒に走ったり、
走る場所を変えて見える景色が変わるだけでも、
そのたびに小さな新しい扉が開くわけです。

そもそも速くなることが走る目的じゃないから、
速くならなくてもイヤにならないんですよね。
基本的に同じことをずーっとやり続けることは苦にならないし。

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_同じことをやり続けるのが苦にならないの?

そうそう。
思い返すと、ひとりでずーっと運動することはあったんです。
ずーっと泳ぎ続けるとか、ずーっとスケートリンクで滑り続けるとか。

スノボに連れて行かれたときも、
上手くは滑れないんだけれど、とりあえず滑れる方法が見つかったら、
その滑り方でゆっくりと永遠に、一日中ひとりで滑り続けるっていう(笑)

人に比べてぜんぜん速くないし、
教わるわけじゃないので、上達はしないんだけれど、
ずーっと、ひとりで運動しているのは苦じゃないみたい。


_それは、ランニングはもってこいのスポーツだったんだね。

ギアを使うスポーツなら、ギアの性能とかも関係するし、
相手と戦うスポーツなら、相手を分析したりしなきゃいけない。

でもランニングは、ギアや他人に左右されず、
自分の身体ひとつで、走りが変わるし、
そうすると、得る感覚や
見えてくる世界が変わっていくのが面白いんだよね。

身ひとつでするスポーツだから、
感じる喜びもダイレクトなんだと思う。

走る下井香織さん


_香織ちゃんは、走ることで人生変わったと思う?

うん。すべてが変わった。
仕事も人との関係も。


_仕事は変わったというより、新しい分野が開けた感じかな?

美容一筋だったのが、ランニングやフィジカル系の企画も担当するようになったことで、
たしかに大きく世界は開けたよね。

でも、それより何より、
昔は、ひとりでいるのが好きだったし、
知らない人と接するのがかなり苦手だったのが、
わりと大丈夫になったことは、大きな変化かも。


_え、そうなの?

編集者って、何よりも「コミュニケーション」が大事で、
誰とでも上手にやっていく能力が一番求められる職業なのに、
わたしはそれがいちばん苦手なことだった。
「愛想がない」ってよく言われたし。

だけど、走ることが人生のひとつの軸になってからは、
昔より、人に対してかなりオープンな人間になったと思う。
人懐っこいまではいかないけど(笑)、
人見知りの部分はだいぶ解消されつつあるなーって思う。

そもそも「誰にも迷惑をかけず、ひとりでできるからいい」
と始めたランニングだったのが、
いつの間にか、仲間と一緒に駅伝に出るのが楽しくなったり、
知らない人ばかりのランニングイベントに気軽に参加したり、
昔では考えられなかった変化が起きてしまった。

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_走るだけじゃなくて、いろんなことにチャレンジもしていたよね?

走る延長線上で、いろんなことが起きていったのはたしかです。
「マラソン走れるなら」と、いきなり富士登山の取材をしたり、
誰にも頼まれていないのに、
読者を連れて行く富士登山や屋久島の縄文杉を見に行くツアーを
組んでみたり……。

当時、箱根駅伝で活躍していた東洋大の柏原選手にも、
女性誌では異例の取材をしたり(笑)。


_あの頃って、どんどん自分がやりたいことを企画にしていたよね?

体力にどんどん自信がついちゃって(笑)。
何しろ、富士登山したあと、そのまま長野に行って、
翌日に『小布施見にマラソン』に出場できるぐらいの体力があったから。
さすがにもうあれは無理だなーって思うぐらい、パワーがあった。

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_今は何かチャレンジしていないの?

去年から、まさかの人生で初めての部活を(笑)。
ランニングチームに入って週1回の練習をしています。


_人見知りだったのに? チームって苦手じゃなかったの?

それが、走りが本当に変わるトレーナーを紹介されて……。
その面白さに惹かれて、見学に行ったら、
誰も一緒に走っていないチームだったんです。


_チームで一緒に走らないの?

うん。
全員がそれぞれのメニューをやっていて、
ある人は右回りに走って、ある人は左回りに走って、
ある人はドリル練習がメインだったりして、
個人個人に合ったメニューで走っているんだよね。

だから、誰ひとり一緒に走っていない。
これなら、私にもできそう! と。
それと、ちょうど「これまでと違うことをしてみたい」
という気持ちもあって。


_また、人との出会いだね。

トレーナーの鈴木清和さんが主宰する
『チャレンジャーズ』というチームなの。
速くなれるフォームは、体型(骨格)タイプによって違う、
という独自のランニングメソッドで指導が行われていて。
メンバーはみんなそれなりのランニング歴があるんだけど、
次々と自己ベスト更新を達成しているんです。

故障してチームに入る人も多いのだけれど、
みんな故障をなおして、ベストを出しているって、すごいなーと。


_香織ちゃんも、何か変わったの?

そうなの。
出産して、娘は3歳になるのだけれど、
なかなか走る時間を昔のようには取れないんです。

だから、このチーム練習の週1回だけが唯一の走る時間。
それで、月30キロぐらいしか走っていないのに、
5年も前の自己ベストとほぼ変わらないタイムを
昨年、出せたんだよね。


_走り込まなくても速くなると?

不思議でしょ。
「走った距離は裏切らない」と言われているけれど、
彼のメソッド通りに走ると、月30キロでも、
月180キロ走ってた頃のようなタイムが出ちゃう。
ちなみに、昨年のタイムは3時間37分。


_ただ走り込め! じゃなくて、
 理論があって、身体の使い方が変わると走りが変わるって、
 やっぱり、香織ちゃんが好きなパターンだね。

そうそう。
だからまた仕事にしちゃった(笑)。
もうすぐ、鈴木さんのランニングメソッドを公開する本が出ます。

『「筋肉」よりも「骨」で走れば速くなる 骨格ランニング』。

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_楽しんでいることが、仕事になって、
 また楽しんだ分、いい本ができるって素敵な循環!

これまで出会ってきた中野さんとも、金さんとも
書籍の編集部に移ってから一緒に本を作っているんです。

雑誌ではなかなか企画にならなかったことを
長く温めていて、それが書籍というカタチになっています。


_人との繋がりも大切にし続けているんだね。

中野さんの『マラソンで絶対してはいけない35のこと』は、
最初のフルマラソンを走るときに、
中野さんがメールをしてくれた内容を本にしたんです。

初めてのマラソンを前に不安いっぱいだったのだけど、
丁寧に長いメールをくれて。
それが、マラソン前日や当日の過ごし方だったんですね。

たとえば「脚がつっても、絶対屈伸はしちゃいけない」とか。
そのあと大会に出るたびに、
屈伸しては再起不能になってる人を必ず見かけるので、
そうだ、あのときのメールを本にしよう! と思って。

金さんとも、書籍の部署に移ってすぐに、
DVD付きの『実践・体幹ランニング』という本を1冊作って、
この10月にも、今度は『体幹スイッチ100』という本を出します。


_もう、本当にランニング関係の編集者だね。

美容の書籍も作りたいんですけどね、
でも、なぜか企画が通るのがランニング関係の本で(笑)。
ただ、美容もランニングもフィジカル系のトレーニングも、
根底には、なぜそうするといいのかという「理論」があって、
言葉で説明できることを大切にしているから、仕事にしがいがあるんだと思う。
キレイになるのも、走りが速くなるのも、
ちゃんと理屈があって、それを守ったら、自分をガラッと変えられるって。
その部分を読者に伝えていければ、いいなーと。

_身体を動かすことで人生が変わるって、どんな感じ?

頑張って、無理して「変わろう!」と思っていなくて、
“走ること”の興味の延長で自然と変わったから、
変わることに対して、違和感がなかった気がします。

気がついたら、こうなっていた(笑)。

人見知りで、体育会系の人は苦手で、
走るのはビリで「運動が苦手」だったわたしが、
走ることが楽しくなって、
気がついたら、人とのコミュニケーションが変わっていて、
気がついたら、仕事内容も変わっていた……。

自分の人生を変えたいと思うと大変だけれど、
何も変えようと思っていなかったのに、
結果、よい方向に変わって来ているから、
運動というか、ランニングはずっと続けたいって思う。


_今日はありがとうございました!
香織ちゃんは、まだまだ新しい扉を開け続けるんだろうな、と感じた時間。
取材後に、思い出の写真をたくさん送ってくれた中に、
仕事で一緒に行った大会の写真もあったりして、
2008
年東京マラソンの頃は、
わたしも「走るなんて、無理!」と思っていた自分を思い出しました。
あれから約8
年。走り出すと、本当に人生が変わるものですね。

インタビュー・文/坂本真理

この記事の著者

坂本 真理
坂本 真理
女性誌やWeb、書籍などで「健康&フィットネス」「女性のダイエットから不定愁訴」「医療」の取材執筆を続けている。取材を通して多くの医師、専門家の話を伺いながら、自分自身の体調改善を小さくスタートさせ、長年付き合っていた、アトピー性皮膚炎と喘息を30代から改善。 「身体は何歳になっても変わる」「治らないと思っている慢性的な不調も改善する方法がある」。自身の身体で実感したことから、書いて伝えるだけでなく、直接伝える場所を持ちたいと一念発起。コンディショニングトレーナーの資格を取得。どんなダイエットやスポーツ、食事法にもいいコトはあるが、その基礎となる「カラダを整えるコト」に着目し、現在は執筆活動に加え、スタジオやジムでのレッスン、企業などで運動指導と身体を整える基本を伝えている。また、2010年より、女子が作る女子のためのマラソン大会を主宰する一般社団法人「ランガール」のメンバーでもあり、ヘルスリテラシー向上に繋がる活動を続けている。
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