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ランニングは、思考せずに“感じる”だけの時間。僕にとっての瞑想です。(花里和光さんVol.1)

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今回インタビューさせていただいたのは花里和光さん
1969年生まれ。高校卒業と同時に漫画家を目指し、北海道から上京。漫画家は志半ばで高所恐怖症にも関わらず、高層建築物用タワークレーンオペレーターに。一日中座りっぱなしの仕事と不摂生のため、徐々に健康を害し始め、健康診断で血中脂肪過多の診断を受ける。このことをキッカケに、学生時代は大嫌いだったランニングを仕方なく始める。始めてみると学生時代には感じなかった気持ち良さと爽快感をランニングに見いだし、それからランニングの魅力にどんどんはまり、様々な大会に参加、いつの間にかラン仲間も増え、ますます走る事が楽しくなってしまう。今年は とうとう東京から大阪までを己の脚のみで走るクレイジーな大会にまでエントリーしてしまうこととなる。

_今日はよろしくお願いします。先日Be Active!主催の東京マラソン応援企画にご参加いただきまして、ありがとうございました。フェイスブック拝見したら、横浜マラソンを完走したばかりなんですね! 運動はほとんどしたことがなかったとおっしゃっていましたが、ランニングはいつからどのようにスタートしたのですか?

始めてからもうすぐ4年になります。きかっけは会社の健康診断で血中脂肪の値で引っかかったことです。それで、運動したほうがいいのかな、と思って、ゴールドジムに入会しました。最初はどうしていいのかわからなくて、筋トレでもやればいいのかなあ?と思ってやっていたんです。ちょうどゴールドジムの企画で、『筋量を2ヶ月間でどれくらい増やせるか』コンテストをやっていたので、参加したら1位になっちゃったんです。

kazumi_hanazato

_へー、すごいですね!!

2ヶ月で筋量を3kgくらい増やしました。

_筋量を……ですか?

筋量です。体重はもっと増えていますけどね。自分でもびっくりしました。でもちょっと狙っていたんですけどね。というのは、ゴールドジムに通っている方々はすでに筋肉ムキムキの人達ばっかりじゃないですか。既に筋量あるから、2ヶ月で増やせる人って初心者じゃないとできないと思って。ちょっと狙えば、いけるかなって思ったんです。そうしたら本当に1位になっちゃって。それで、味をしめたんですよね。

kazumi_hanazato

_賞金とか出たんですか?

いえ、Tシャツ1枚くらいでした。そのあと、今度は『体脂肪をどれだけ減らせるかコンテスト』というのがあったのでそれも参加しました。ジムに通いながら、自宅にあったエアロバイクを漕いでいました。最初は20分くらい毎日やっていて、いよいよ最後の1ヵ月という時に、これだけじゃヤバいな、と思って、家の近所を走り始めたのがランニングのスタートしたきっかけです。

_それも優勝できたんですか?

それは残念ながら、100位以下でした。全然だめでしたね。

_でもそれだけやっていたら、体脂肪は結構減ったんじゃないですか?

そうですね、減りました。体重もどんどん減っていきました。86キロあった体重が74キロまで減りました。

_すごいですね!何ヶ月間で減らしたんですか?

3ヶ月くらいです。

_3か月で12キロ減!?

それから走り始めて最終的には68キロまで落ちましたので、全部で18キロくらいです。

_すごいですね~!! 健康診断で引っかかったから運動を始めなきゃ!っていうケースは、結構あると思うんですよね。保健指導を受けたりして。でも、実際はなかなか始められない人が多いように感じています。分かっちゃいるけど……というパターンが多いじゃないですか。花里さんの場合、結構すんなりと始めて、続けているいるイメージがあるんですが……。

そうですね。ジムは結構前からたまに通っていたんですよね。弟がボディビルジムのインストラクターだったこともあって。でもそんなに真面目にはやっていませんでした。月1とか。そうしたら健康診断に引っかかってしまったので。そんな感じですね。

_いよいよやらなきゃいけないな、と本腰入れたんですね。

最初に参加したコンテストもよかったんですよね。その時期はコンテストを楽しみにしていて、2ヶ月という期日が決まっていたので、その期間、成果が出るまで頑張ろうって。

_それでも、普段運動していない人が運動を始めて、続けるというのは大変なことだと思うんですよね。しんどくなかったですか?

もともと僕はオタク系で……(笑)。若い頃、漫画家になりたかったんですよ。イメージですけど、漫画家って、運動なんてしないし、家にこもっているみたいな。でも僕はそういう人間になりたくないなって思っていて、運動もちょっとずつはやるようにしていたんですよ。基本オタク系だからこそ、運動もしている人でありたい、と思っていました。

_漫画家にはなりたいけど、運動しないイメージは嫌だなと思っていたんですね。

客観的に見て、運動をしないとか、室内こもる人ってやだなぁって。何かそういう人に思われたくないなって昔から。漫画家にはなりたかったけど、漫画家のイメージが嫌いだったんです。

_新しイメージの、爽やかな漫画家を目指したかったんですね。

そうです! 漫画書いていると室内じゃないですか、基本。インドアまっしぐらですよね。

_ってことは、昔から運動はやっていたんですか?学生時代とか。

中学、高校では、軟式野球部に。友達と一緒に入学して見学に行ったんですね。それでなりゆきで入部してしまって。でも、一年で辞めました。運動神経が良くなかったみたいで、キャッチボールができない。迷惑かけたらいけないなって思って辞めました。

_もしかして、運動はそんなに得意じゃないほうですか。

全然得意じゃない。

_学生時代にちょっとだけ野球はやっていたけど、その後、特に運動はしていないのですか

やってないですね。

_でも運動しないでこもっているイメージは嫌だって。

嫌ですね。自分のことも嫌だったのかもしれないですね。その当時は。

_社会人になっても体を鍛えるとかもないまま?弟のジムにたまに行くくらい?

そうですね。バイクが好きだったんで、移動はバイクばっかり乗っていたので、普通の人よりも歩いていないと思います。どこに行くにもバイクでした。

_じゃあ今の生活は激変ですね。

そうなんです。こんな40歳を過ぎてから。今まで足腰をほとんど使わない生活をしてきたのに。今更、何でこんなに酷使するんだよって、足腰が怒っているイメージです(笑)。

_使ってこなかった何十年分かを、今になって使っている。

そうそう、今更かよ……っていう感じだと思っています。

_最初に筋トレから入っているから、ケガとかは少なかったのではないですか?

そうですね。ケガとかはしていないですね。

_それは素晴らしいです。筋トレを始めて痩せて、体脂肪減らすコンテストで脂肪を落として。いい順番ですね。家の周りを走るようになって、最初はどのくらいからスタートしたんですか?

最初はランニングに必要なものを何も持っていなくて。時計ももちろん。100均のキッチンタイマーを片手に……。

_キッチンタイマーですか??

キッチンタイマーで、最初は家から10分離れようと思って走って、10分経ったら戻ってくるっていう。

_10分で折返し。

そういうのをやっていました。最初は横腹が痛くて……。10分走っていくんですけど、帰りは10分で帰ってくることができないんですよ。分かります?

_行きはよいよいってやつですね?

行きはいいですけれど、帰りはペースが落ちているんでしょうね。それが悔しくて。10分で行ったら同じ場所に10分で帰って来たいっていうのが最初の目標でした。

_おもしろいですね!往復20分なので距離は3キロくらいですかね。

そうですね。最初は本当に近所を走っていただけです。10分から始めて、それができたら今度は15分離れてみよう!ってなって。

_最初は10分でどこまで行けるかすら分からなかったわけですよね?

分からなかったです。

_キッチンタイマーが「ピピピッ」と鳴るまで走るってことですよね。

そうです。

_ランニングシューズとかは買ったんですか?

いや、その当時はランニングシューズじゃないですね。そんな専門的なシューズが必要かどうかも知らないじゃないですか。

_家にある走りやすそうな靴で?

そうです、はい。

_そのキッチンタイマー走をどのくらい続けたんですか? 10分からスタートして。

30分もやってないですね。片道15分ですね。マックス。

_片道10分から始まり15分。ってことは合計30分ですね。

はい。往復で30分。そうですね。

_どのくらいの期間続けたんですか?

まず1ヵ月間やってみたんですね。その脂肪を落とすコンテスト1ヵ月前から始めたんで、1ヵ月走ったらやめようって思っていて。でもなんかせっかく痩せたし、もったいないなっていうので続けてて、それがいつの間にか、1ヵ月、2ヶ月って延びていったんだと思います。

続けていくうちに感じ始めたランナーズハイ。これって瞑想に近いのかも……。

_楽しくなってきちゃったとか?

そうですね、ランナーズハイじゃないですけれど、そういうのはありましたね。

_それは、どんな感じだったんですか?

無いですか? ランナーズハイみたいなの。どっちかっていうと、途中から痩せることよりもそっちの方が重要でしたね。ヨガとかやったことありますか?

_はい。少しだけやっていた時期があります。

瞑想ってヨガと近いじゃないですか。僕、瞑想にとても興味があって、何回かトライした事があるんですよ。でもなかなか続かないんですよね。でもどこかで、瞑想っていうものに惹かれる。走ることで、それができた感じがしたんです。瞑想状態。ないですか? そういうの。

_瞑想……。自分と内面と向き合うイメージですか?

そういうイメージですね。走っていると脳みそって働かなくなりませんか?いろんなイメージは浮かんでくるんですけれど、それをこねくり回すっていうか、思考することができなくなるっていう。例えば算数の問題を走りながら解こうとしても、なかなかできないじゃないですか。今ならできるんですけれど、走りながらって、絶対無理なんですよ。その、思考が止まった状態が、もの凄い気持ちいい、ってことに気が付いて。

_それは、ある時から急に気づいたんですか?

そうですね。走り始めてそっちで感じるメリットの方が大きかったですね。

_それがご自身の中では瞑想っぽいと。

瞑想っぽい。そうです。

_瞑想には何で憧れがあるんでしょうか?普段いろいろと頭を使って考え過ぎているんですか?

そうでしょうね。もともと漫画家を目指していたので、常にアイデアを考えているんですよ。常にネタを考えている。そうすると、そのうちクラッシュするっていうか。もう考えられない! みたいな。どんなときも何か考えているんですよ。アイデアを。四六時中。

_そのことに、疲れちゃうんですかね?

疲れちゃう。

_思考が休んでないんでしょうね。

うん、休んでいない。気付くと脳みそが思考しているので疲れちゃう。でも考えている時って全然いいアイデアは浮かばなくって。逆に完全に思考が止まっている、走っている状態の方がいいアイデアが浮かんでくるんですよね。

_何か分かる気がします。

それが気持ち良くて。走っている時は何も考えていないなって思うんだけれど、ふと気付くといい事が浮かんできたりとか。何かについて考えるっていうのはできないんですけれど、勝手に出てくるものがある。

_走っていると、思考ではなく、感覚で感じることがたくさんありますよね。その日の気温だったり、季節の匂いだったり、風だったり。いろんなものを全身で感じるから、思考だけでは出てこない何かが動くような気がしますね。

思考と、感じることっていうのは同時にできないらしくて。思考している時は不感症じゃないけれど感じにくい。で、完全に感じるだけの時はもう脳みそが止まっている状態。それを走ることで感じたんです。その感覚が気持ちよくて。ランニングにはまった理由は、最初はそれですね。

_ランニングを始めたばかりだと、息が苦しくなっちゃうとか、足が痛くなっちゃうとかありそうですよね? でもそれよりも瞑想の感覚の方が、気持ちよかったんですか?

そうですね、学生の頃の体育で走るランニングは、大嫌いでした。あれを、何で辛いのかなって考えたんですけれど、それは多分、やらされているから辛いんですよ。それなのにこんな年になって、キッチンタイマーを使って、自分の意志で決めて、自分の意志で走る。やめたければいつやめてもいいし、10分じゃなくて5分にしようと思えばできる。スピードも自分で決められる。そう思うと、走ることってすごく気持ちがいいんだなって。やらされて走るのではないと、めっちゃ気持ちいいじゃん!って。学生の頃にはなかったですよね、自分の意志で走るってこと。

 

次は初めて出た大会のことや、走り始めたことで変化した仕事感などを伺っていきます。
Vol2はこちら

この記事の著者

森村ゆき
森村ゆき
RunforSmile株式会社代表取締役。2004年に初挑戦したホノルルマラソンで、改めて体を動かす素晴らしさを体感し「より多くの人に体を動かす素晴らしさを味わってほしい!」と“スポーツ”と“コミュニティ”をキーワードに、さまざまな活動をスタート。
2005年、ホノルルマラソン完走をきっかけに友人たちと立ち上げた『PARACUP~世界の子どもたちに贈るRUN~』は、楽しみながら走ることで世界の子どもたちをサポートする仕組みをうみ、現在までの寄付額は約7000万円にのぼる。現在は、「体を動かすこと」でその人の健康を見直すきっかけを作り、「いつまでも健康で豊かな人生を送る人を増やしたい!」と、体に関するセミナーや大会の企画運営、講演、スポーツボランティアのマネジメントなどを行っている。
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